ローマ数字(基数詞)

ラテン語

ローマ数字は、古代ローマで用いられた数の表記法に由来するもので、今日でもなお、ヨーロッパをはじめ各地で装飾的・伝統的な数字表記として生き続けています。その起源については諸説あるものの、一般には、古代イタリアにおける記数法が発展し、ローマ人の実務や行政の中で整えられていったものと理解されています。古代ローマでは、碑文、年号、軍団番号、章節番号、貨幣、公共建築の銘文など、さまざまな場面でローマ数字が用いられました。中世以降も、その伝統は写本文化や教会文書、王侯の称号、時計、建築銘板などに受け継がれ、近代になってアラビア数字が普及した後も、格式や権威を感じさせる表記として残り続けました。

日本でも、シリーズ番号(「ドラゴンクエストⅡ」)などで見かけることがありますね。

もっとも、計算や日常的な数量表示という観点から見ると、実用性においてはアラビア数字のほうがはるかに優れています。ローマ数字は加減乗除に向かず、桁の構造も現代的な位取り記数法ほど明快ではないため、今日では主として装飾的・象徴的な目的で用いられることが多いといえます。

また、ローマ数字の表記法そのものも、古代から常に完全に一定であったわけではありません。たとえば、現代では 4 = IV9 = IX のような減算的表記がよく知られていますが、古い時代や碑文によっては IIII VIIII のような加算的表記も見られます。さらに、四百を CD と書く代わりに CCCC とする例もありました。このように、ローマ数字は一見固定的に見えて、実際には長い歴史の中で一定のゆれを含みつつ用いられてきた記数法でもあります。

ここでは、ローマ数字に対応するラテン語の読み方を、基数(一、二、三……)と序数(第一、第二、第三……)の順で掲げます。ラテン語では、数詞の種類によって語形変化のしかたが異なるため、単に数字と単語を対応させるだけでは足りず、文法上の性・数・格との関係にも注意する必要があります。とくに I~III の基数は形容詞的な性格が強く、男性・女性・中性に応じて形が変化します。また、IV 以降の二桁の基数は、I~III と複合する場合を除いて、通常は格変化しません。他方で、CC 以降の三桁の数や MM 以降の四桁の数は、再び性・数・格に応じて変化する形をとります。この点は、ラテン語の数詞の中でもやや複雑な部分ですので、一覧を見る際にも頭の片隅に置いておくと理解しやすくなります。

I
unus, una, unum / primus, prima, primum
「一」および「第一」を表します。基数の unus は形容詞のように性によって語形が変わり、男性・女性・中性でそれぞれ異なる形をとります。序数 primus は「最初の」「第一の」という意味で、順序を示す際に用いられます。

II
duo, duae, duo / secundus, secunda, secundum
「二」および「第二」を表します。基数 duo も性に応じて変化し、女性形が duae になる点が特徴的です。序数 secundus は「第二の」のほか、文脈によっては「次の」という意味合いを帯びることもあります。

III
tres, tres, tria / tertius, tertia, tertium
「三」および「第三」を表します。基数 tres は男性・女性で同形、中性では tria となります。序数 tertius は「第三の」を意味し、順序や段階を示す表現で用いられます。

IV
quattuor / quartus, quarta, quartum
「四」および「第四」を表します。基数 quattuor は通常、性や格による変化をしない形です。序数 quartus は「第四の」という意味で、四番目の位置や段階を表します。

V
quinque / quintus, quinta, quintum
「五」および「第五」を表します。基数 quinque は不変化で、序数 quintus は「第五の」という意味になります。

VI
sex / sextus, sexta, sextum
「六」および「第六」を表します。基数 sex は短く簡潔な語形で、序数 sextus は「第六の」という意味です。

VII
septem / septimus, septima, septimum
「七」および「第七」を表します。序数 septimus は、序列・順序を示す文脈で用いられます。

VIII
octo / octavus, octava, octavum
「八」および「第八」を表します。基数 octo は不変化、序数 octavus は「第八の」を意味します。

IX
novem / nonus, nona, nonum
「九」および「第九」を表します。基数 novem に対し、序数は nonus となり、語形がやや異なる点に注意が必要です。

X
decem / decimus, decima, decimum
「十」および「第十」を表します。十進法の一区切りとなる数であり、序数 decimus は「第十の」を意味します。

XI
undecim / undecimus, undecima, undecimum
「十一」および「第十一」を表します。十に一を加えた数であり、序数もそれに対応する形をとります。

XII
duodecim / duodecimus, duodecima, duodecimum
「十二」および「第十二」を表します。基数・序数ともに規則的な形成が見られます。

XIII
tredecim / tertius decimus, tertia decima, tertium decimum
「十三」および「第十三」を表します。序数は「第三の十番目」という構造を保った表現で示され、やや分析的な形になっています。

XIV
quattuordecim / quartus decimus, quarta decima, quartum decimum
「十四」および「第十四」を表します。基数は「四と十」、序数は「第四の十番目」に対応する形です。

XV
quindecim / quintus decimus, quinta decima, quintum decimum
「十五」および「第十五」を表します。十五以降の数も、ラテン語では一定の規則のもとで形成されます。

XVI
sedecim / sextus decimus, sexta decima, sextum decimum
「十六」および「第十六」を表します。序数は性に応じて語尾が変化します。

XVII
septendecim / septimus decimus, septima decima, septimum decimum
「十七」および「第十七」を表します。十七は比較的規則的な複合数です。

XVIII
duodeviginti / duodevicesimus, duodevicesima, duodevicesimum
「十八」および「第十八」を表します。ラテン語では「二つ足りない二十」という考え方で表されるのが特徴で、現代語の感覚からするとやや特殊に見えます。

XIX
undeviginti / undevicesimus, undevicesima, undevicesimum
「十九」および「第十九」を表します。これも「一つ足りない二十」という発想による表現です。

XX
viginti / vicesimus, vicesima, vicesimum
「二十」および「第二十」を表します。ここから先の十の倍数は、一定の規則に従って形成されます。

XXI
viginti unus (unus et viginti), viginti una (una et viginti), viginti unum (unum et viginti) / vicesimus primus, vicesima prima, vicesimum primum
「二十一」および「第二十一」を表します。基数では viginti unus のような形のほか、unus et viginti のような語順も見られます。複合数において unus が性に応じて変化する点が重要です。

XXX
triginta / tricesimus, tricesima, tricesimum
「三十」および「第三十」を表します。十の倍数の一つとして、比較的整った語形を示します。

XL
quadraginta / quadragesimus, quadragesima, quadragesimum
「四十」および「第四十」を表します。ローマ数字では減算的表記が用いられますが、ラテン語の語形自体は独立した数詞です。

L
quinquaginta / quinquagesimus, quinquagesima, quinquagesimum
「五十」および「第五十」を表します。五十以降も同様に、十の倍数として規則的に形成されます。

LX
sexaginta / sexagesimus, sexagesima, sexagesimum
「六十」および「第六十」を表します。

LXX
septuaginta / septuagesimus, septuagesima, septuagesimum
「七十」および「第七十」を表します。

LXXX
octoginta / octogesimus, octogesima, octogesimum
「八十」および「第八十」を表します。

XC
nonaginta / nonagesimus, nonagesima, nonagesimum
「九十」および「第九十」を表します。

C
centum / centesimus, centesima, centesimum
「百」および「第百」を表します。centum は通常不変化ですが、これを基礎としてさらに大きな数が形成されます。

CC
ducenti, ducentae, ducenta / ducentesimus, ducentesima, ducentesimum
「二百」および「第二百」を表します。ここでは基数が複数形をとり、性によって語形が変化する点が重要です。

CCC
trecenti, trecentae, trecenta / trecentesimus, trecentesima, trecentesimum
「三百」および「第三百」を表します。三百以上の百の単位は、形容詞的に変化する数詞として扱われます。

CD(CCCC)
quadringenti, quadringentae, quadringenta / quadringentesimus, quadringentesima, quadringentesimum
「四百」および「第四百」を表します。ローマ数字では CD の形が一般的ですが、古い表記として CCCC も見られます。

D
quingenti, quingentae, quingenta / quingentesimus, quingentesima, quingentesimum
「五百」および「第五百」を表します。これも百の単位の数詞として、性・数・格に応じた変化を示します。

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